ライトニングネットワークのチャネルバランス
今回はチャネルバランスのリバランスについての備忘録です。ライトニングネットワークの概要はここ、チャネルバランスはここが参考になると思います。
チャネルバランスを均衡に保つためにリバランスは必要か
リバランスをする方法
ボブは以下のようなペイメントチャネルを持っていたとする。
Alice 0--2 Bob 0--2 Carol
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+----- OTHERS ------+
ボブは、ある理由で、チャネルバランスの均衡をとりたいと思う。そこで、ボブはBob - Alice - OTHERS - Carol - Bobという経路を取って自分自身に支払いをすることで、以下のような資金のリバランスをとることができる。
Alice 1--1 Bob 1--1 Carol
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+----- OTHERS ------+
リバランスにはアクティブとパッシブがある
アクティブリバランス
ある特定の決済(例えば、Bob - Carol - OTHER)をしたいがためにするリバランスをアクティブリバランスと呼ぶ。しかし、この特定の決済をするための経路はリバランスができる状態(Bob - Alice - OTHERS - Carol - Bob)であれば、代替経路(Bob - Alice - OHTERS - Carol - OTHER)があるので、それを使えば良い。したがってアクティブリバランスは必要ない。
AMP(Atomic Multipath Payment)が実装されるまでの間は、確かにこのアクティブリバランスは必要。例えば、ボブが0.5BTC受け取りたい状態で以下のチャネルを持っていた場合がそれである。この場合はリバランスをしないと0.5BTC受け取れない。
Alice 1.8--0.2 Bob 0.3--1.7 Carol
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+--------- OTHERS ----------+
パッシブリバランス
しかし、パッシブリバランスという考え方がある。これはボブのインバウンドとアウトバウンドの量を均等にすることで、ルーティングエラーを防ぐ目的がある。では、やはりリバランスは必要かというと、ある一定量の資金を持っているノードであれば、ある期間は受取が多く、ある期間は差出が多く、最終的には均衡が保てるだろうと期待されている(どうにもならない場合はパッシブリバランスは必要になってくるとは思うが)。
チャネルバランスの疑問点
チャネルバランスを保つためにリバランスする方法があることが分かったが、そもそもバランスが取れている状態にネットワークがなるのか?なるとすればバランスを取ろうとする動機は何か?例えば、上記にあるようなイン・アウトバウンドの均等を保つことでルーティングエラーを減らし、ルーティング手数料を稼ぐことが動機であるが、そもそもバランスを取ることが難しい。例えば、オンラインショップが大きなチャネルをボブに対して開設したとする(OnlineShop 2--0 Bob)。そしてユーザーが商品を購入しショップが資金を受け取るには、
(1)各ユーザーがオンラインショップとチャネル開設をするか
(2)各ユーザーとチャネル開設しているアリスが大きなチャネルをオンラインショップと開設するかである
(1)については既にチャネル開設しているユーザーにとっては不要なチャネル開設になりうる。(2)についてもアリスがチャネル開設してくれるか不明である。以上より販売者が受取可能となるチャネルバランスになることは難しいと思われる。そもそも販売者にしてみれば、上記の例ではボブとのチャネル開設は不要である。販売者は受取可能になるためにできることはあるのだろうか?
リバランス:資産の再分配をすること。時間の経過(支払や受取をする)とともに、自身の持っているチャネルの支払・受取限度の比率が変ってくるため、これを最適な(当初の)状態へ戻すこと。
(例)
Alice 1--1 Bob 1--1 Carol(初期状態)
Alice 0--2 Bob 0--2 Carol(数ヵ月後:BobはCarolから受取ができない。)
Alice 1--1 Bob 1--1 Carol(リバランス後:Bobの保有残高は変化しないが、Carolからの受取ができるようになる。)
参考
1 c-lightningで自分自身へ支払いをする方法
2リバランスについて
3Laoluによるリバランス見解
ビットコインの利便性の考察
- 現状
ビックカメラではbitFlyer Walletにてビットコイン決済ができる。これは実際にビットコインの送金をしているのではく、bitFlyerのシステム内でビットコインの残高を操作しているにすぎない。要は、ビットコインの取引(送受信)はブロックチェーン上に書き込まれていない。ビックカメラはbitFlyer Wallet以外のビットコインウォレットでの決済にも対応している。
飲食店のGen’sグループではCoincheck Paymentにてビットコイン決済が可能であった。このサービスはPayment Processor サービスである。消費者がビットコインの送金をするとコインチェックが介入し、ビットコインと円の為替相場を計算し、円建てで店舗側へ送金する仕組みである。
ビットコイン決済に対応している店舗でも、実際は交換業者が仲介し、店舗側は円建てで振り込まれており、ビットコインが循環する経済活動にはまだ達していない。
- ビットコイン決済の利便性(日本・円を起点としての利便性)
価値の移動が簡単。例えば、友達間での送金が簡単。
入金が即時。銀行振り込みは土日祝日に銀行振り込み(IB)をした場合、翌営業日に決済されるが、ビットコインは即時反映。お金がすぐに欲しい人には良い通貨である。
日本人
ショップ側
支払い手段の多様化にてユーザー獲得が見込める。
手数料が安い。ビットコイン決済サービスの手数料は約1%とクレジットと比べて安価。また、決済サービスを利用しない場合は、手数料は0%。
ユーザー側
ビットコイン保有者:ビットコインでモノ・サービスが購入できる。ビットコインで儲けた人は、売却時の課税を逃れることができる。
これから保有する人:ビットコインの購入は非課税(消費税が係らない。手数料は係る)。価値が上がった時に、モノを購入することでお得になる(価値が下がるリスクもある)。
(オンライン)ショップ側がビットコイン決済を導入した場合、ビットコイン支払いの場合、商品の値引きが可能となり(クレジットの手数料分)、ユーザーが安く購入可能となる。
外国人
日本に来た外国人は外貨為替をする必要がない。
海外送金(remittance)が簡単、安い、早い。
- 電子マネーとクレジットカードの特徴と比較
電子マネーの特徴
決済が簡単、速い。
ポイントが貯まる。
取り扱い店舗が少ない。
方式 |
概要 |
サービス名 |
事前にチャージ(入金)する。オートチャージ機能あり。 |
||
ポストペイ |
後から支払い代金の請求がある |
iD, Quickpay |
クレジットカードの特徴
店舗・ネットショップで使用できる店が多い。
ポイントが貯まる(電子マネーと比べると劣る)。
スキャミングのリスクがある。
その他サービス
Onepay:スマフォでクレジットカード決済を導入できるアプリ。お客のカードをスマフォでスキャンする仕組みだが、カードをお客の前で撮影する抵抗感があるのでは?
Origami pay:クレジットカードとアプリに登録し、スマフォから支払うサービス。楽天ペイ、ドコモのd払いとは異なり、決済額に応じてポイントが貯まる仕組みはなく、クレジットカードのポイント等のみ。最大の特徴は各店舗が独自の割引クーポンを発行できるところ。オリガミペイの場合は店員にクレジットカードを渡す必要がなく、クレジットカードの情報も店舗には渡さなくてよい。
各決済手段の比較
ユーザーにとっての理想は、取扱店舗が多く、カード使用時のリスクが少ないことやポイントが貯まることである。また、連携サービスなどの付加価値が豊富な点も重要である。例えば、Origami Payはクレジットカードとの連携をすることで、店舗側にカードを渡す必要がなくセキュリティを高めている。以下に各決済手段の比較表を示す。
取扱店舗 |
セキュリティ |
操作性 |
ポイント |
付加価値 |
|
少 |
高 |
中 |
- |
Lightning Network |
|
中 |
高 |
高 |
高 |
||
クレジット |
多 |
中 |
中 |
中 |
Onepay, Origami Pay, Stripe |
- 考察
ビットコインの決済手段としての浸透には、付加価値を与え、ユーザーに魅力的であることが大切である。魅力的であれば、おのずと取扱店舗は増えてくる。まずは、操作性の向上と付加価値の創造が必要である。付加価値向上の一例として、決済手数料がクレジットと比べて安くなるため、その分を商品値引きに当てることが考えられる。
また、ビットコインを手に入れることが現状困難であるため、オンラインショップやオンラインフリーマーケットなどのプラットフォームでのビットコイン導入を加速させ、ビットコインが経済活動全体で循環する必要がある。
- 決済の今後
ビットコインが法定通貨に取って代わることはないであろう。ただ、ネット決済としてクレジットカードにとってかわる、もしくは普及することは十分にありえる。実店舗での普及よりは、オンラインショップでのビットコイン決済の市場は大きいと予想しており、今後、ライトニングネットワークなどの進展に伴い、さらにオンライン仮想通貨決済は浸透するであろう。
ライトニングネットワーク対応のオンラインショップを立ち上げてみた。ぜひ日本人も体感していただきたい。